2013年12月8日日曜日

【秋季プログラム拠点紹介③】進歩を遂げる継続拠点 金町拠点のご紹介!

日進月歩とはこのことかと。


こんにちは!女性アイドルが好きです、広報部の山崎です。

 さてさて、足立立石と続いたこちらの拠点紹介シリーズ、今回の金町拠点の紹介が最終回となります。私、山崎がラストの金町を担当させていただくわけですが、ここで、今までにはなかったある問題が発生することに気がつきました。

私、金町拠点と直接関わったことがない。

 今までの足立、立石の記事を書いてくれた2人は、それぞれの拠点で教師を経験しています。拠点の基礎情報はもちろん、子どもの様子まで知っているわけです。しかし、私は金町拠点で教師もスタッフも経験したことがない。それどころか、これを書いている時点で、実は現地に足を運んだことすらないのです。
 そのような状態です。普通ならやっべええええ!となるところだと思います。はい、私もなりました。しかし、自分が金町担当になった際、ある理由から、私はそれ以上にとても嬉しかったのです。

 なぜ嬉しかったのかは後述するとして、ここでは金町関係者から聞いた情報を元に拠点紹介を行いたいと思います。


【拠点の基礎情報】

 場所は葛飾区金町。金町拠点は2013年度秋季で13期目と、LFAの中でも最も古い歴史のある拠点。対象学年は中学1~3年生、指導教科は主に数学、英語です。継続期間が長いので、中には3年近く通っている子どももいます。支援対象に中学3年生が含まれており、受験対策も行っていることが拠点としての最大の特徴です。
 また、土曜日の通常指導以外にも、過去教師やスタッフによって毎週水曜日に行われている、自習室という試みも、この拠点独自のものです。ここでは受験を控えた中3生を対象に、理科、社会の補習も行われています。「受験生のためには絶対に必要だから」という理由で、当時の現場管理者だった現事業部長が始めた取り組みです。

【拠点の子どもの様子】
 学習支援の対象となっているのは、生活保護受給世帯の子どもたちです。全体として真面目で、寺子屋に来ると3時間しっかり集中して学んでいるそう。総じておとなしい子が多く、褒めるとはにかんだような笑顔を返してくれるのが特徴だそうです。また、内向きな子が多いのか、「休みの日は何をやっているの?」と尋ねると、ゲームをしている、アニメを観ている、という答えが返ってきがちだということ。
考えてみれば当たり前なのですが、子どもの様子は拠点によって大きな差があります。かつて私が教師をやっていた小学生を有する拠点では、休み時間ともなれば、教室内で遊び始めるやんちゃな子ばかりだったので、この話を聞いた際は、改めて驚きました。

【これまでの変化】
運営が長く行われているだけに、金町拠点においては、数字が伴う確実な成果が出ています。進学に関わる部分で言及すると、昨年度の中3生は6名中5名が志望校に合格、そのうち1名の卒業生は、進学先の高校でも学年5位の成績を保っています。今年度の受験生の中には、偏差値50台の高校を志望している子もいるそうです。
拠点全体においても変化が見られていますが、ここでひとつ、スタッフ間でもよく話題にのぼる、中学2年生の男の子のエピソードを紹介したいと思います。1年前の時点で、複雑な家庭環境を抱えている彼は、寺子屋に遅刻して入ってきても5分で爆睡、声をかけても首をひねるだけで、なかなか積極的な反応を返してくれなかったそうです。学習遅滞も大きく、定期テストで1ケタの点数を取ってくることもよくあったとのこと。
それが彼を担当した教師たちが根気よく指導を続けた結果、少しずつではありますが、着実な進歩が見られているそうです。定期テストの点数が30点程度まで上がっただけでなく、机上整理にも意識が向くようになり、発話量も大きく増えた、という話を聞いています。金町拠点のスタッフが口をそろえて、彼の変化を嬉しそうに語るので、それはきっと私の想像以上に大きな、意味のある進歩なのだろうといつも感じます。

昨年度、半年ほど彼を教えていたある女性教師(そして現在金町スタッフ)が、先日彼から手紙をもらったのだそうです。そこには、こう書いてあったとのことでした。
「学校のテストであんまりいい点はとれなかったけど自分のなかではすごくがんばったと思いました。いつも応援してくれてありがとうございます。3年になっても寺子屋にいくと思うので、3年になっても寺子屋にかよい続けたいです。」
その手紙を読んだとき、嬉しさのあまりに彼女は涙を流したそうです。教師が確実に子どもを変容させていることが、とてもよく表れたエピソードですよね。こんなことを言われてしまったら、何としても彼の人生を良い方向に導いてあげたいと強く感じるんじゃないかなあと思います。
運営自体についても、金町は確実に進歩を遂げている拠点です。連携先のケースワーカー様や子どもたちの保護者様とも対話を行い、外堀を埋める形での働きかけも行っています。

※ケースワーカー:生活保護受給者など、社会的に支援を必要とする人とその環境に働きかける専門職を指します。
【今後の金町】
前述の通り、他の拠点と異なる金町拠点の大きな特徴は、受験生を対象としている点です。そのため、短期的な結果を継続して出す必要性が出てくるのです。「結果に対する意識は常に高く持ち続けなければならない」―ある金町スタッフ経験者はこう言っていました。また、受験生に対してきめ細やかに指導を行っている分、受け入れられる人数が限られているという事実もあるそうです。さらには、歴史があるため、多くの過去教師も見学に訪れます。結果が出始めている分、期待とプレッシャーが常にかかっているという側面も持つ拠点です。
 「受験生を対象としている」とさきほどから繰り返していますが、言うほど簡単ではない、ということは、関係者に話を聞く中で嫌というほど伝わってきました。文字通り、子どもの人生を背負うことになる作業です。そのプレッシャーに耐え、子どもと向き合い続けてくれている金町教師には改めて敬意を表さなければならない、と感じました。
【秋季の目標】
最後に、現在実施中の秋季プログラムの現場責任者を務めている家坂に秋季の意気込みを聞いてみました。とは言っても、秋季もう終わるのですが…掲載が遅くなって彼女には本当に申し訳ないのですが…

             
秋季金町の現場責任者の家坂。1年以上金町に関わり続ける古参スタッフです。
前述の進学先の高校で学年5位を保っている子どもを教えていた教師でもあります。
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秋季の目標として、「金町に関わる全ての人の笑顔と結果を達成する」を掲げています。
子どもたちには、寺子屋という安心の場で学力向上という結果を残したいと考えています。一人一人が自分の意思で進路を選べるよう、この秋で確かな結果を出すことが第一の目標です。また、教師とスタッフは、その目標達成を目指し、一丸となって進んでいきます。自分ではない誰かのために、仲間と切磋琢磨する3か月を通して、全員が一生モノの経験を得られればと願っています。
私個人としてはLFAの金町拠点について、葛飾区の教育・福祉の面から捉えられるようになることが目標です。今拠点にいる子どもたちを含め、これからくるであろう子どもたちが、区のレベルでどう扱われていくのかを考えることで、葛飾の教育格差について根本から理解を深めたいからです。
この3か月間、周囲の方のお力をお借りしつつ、金町に関わる全ての人の笑顔と結果の達成を目指します。
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上記をまとめるため、何名かの金町関係者に話を聞いたのですが、その中で個人的に最も印象に残ったのが以下の一言です。
「金町は受験に関わることで“教育格差”という課題により直接的に触れる拠点でもある」
これまた個人的な印象なのですが、金町の教師やスタッフって、「ガチ」な側面が強い。もちろん他の拠点の教師、スタッフも子どもの人生を変えるため、必死こいてがんばっています。それは紛れもない事実です。ですが、教師・スタッフ経験者が多いこともあって、「多くの人が目の色を変える勢いで子どもと向き合っている」というのが、金町拠点に対して抱いていた印象でした。そして、それがなぜなのか、この一言でわかったような気がします。受験を通して、「教育格差」というものを生々しいまでに直視した結果が行動に体現されている、というのがその理由なのでしょう。
今までに多くの教師・スタッフが関わり、試行錯誤を繰り返し、拠点をより良くしようともがいた成果が現在の子どもの変容です。少しずつではありますが、確実に成果は出ています。
そしてそんな多くの人の想いを受け継いだ結果が成果となって表れている拠点に、こうした形であっても関わらせてもらえることが、私はとても嬉しかったのです。
「日本に教育格差なんてあるの?」何気なく大学に通っていると、そう感じるかもしれません。しかし、紹介した金町拠点に通うような子どもは、現実にいます。しかもこれはほんの氷山の一角にすぎません。困難を抱えた子どもたちは、日本各地に存在します。
 この現状を少しでも打開するため、私たちは仲間を探しています。少しでも関心を抱いていただけたら、一度私たちとお話しませんか?説明会を都内各所で絶賛実施中です。(ご応募はこちらから)
ともに子どもに寄り添い、向き合ってくれる新たな仲間と出会えることを、スタッフ一同楽しみにしております。それでは、今回はこの辺で!

       
ちなみに他の拠点紹介はこちらへ!


(文:山崎 未来)

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